粉体塗装の寿命
粉体塗装の秘密：長寿命と高耐久性の背景
粉体塗装の特徴のひとつとして、耐久性が高く寿命が長い点が挙げられます。これは、粉体塗装を行うと一度の塗装で厚い塗膜を形成できることが理由として挙げられます。粉体塗装を行った場合の膜厚は、静電粉体塗装法の場合には最大150μm、また流動浸漬塗装法の場合には最大1500μmとなっています。
さらに、粉体塗装は焼付塗装のひとつであり、塗膜そのものの強度と柔軟性が優れている点も特徴です。このように粉体塗装を行った場合には、高い強度を持つ柔軟な厚い塗膜を得られます。この点が長寿命・高耐久性という特徴につながっているといえます。
粉体塗装を選ぶべき5つの理由
粉体塗装はさまざまな特徴を持った塗装方法ですが、溶剤塗装や水性塗装と比較した際の特徴には下記のような点が挙げられます。
塗膜の強度・耐久性が高い
粉体塗装を行った場合には、塗膜に傷がつきにくい点や、伸縮性に優れていることから湿度・温度変化が大きな環境で用いた場合でもひび割れ・剥離がしにくい点が特徴として挙げられます。これらの特徴から、耐久性が高く寿命も長くなるなどのメリットが得られます。
塗膜の性能が高い
粉体塗装は、塗装ムラが起きにくいといった特徴があり、さらに「ピンホール」と呼ばれる塗装面に生じる小さな穴も発生しにくい点もポイントです。この点から、塗膜の下にある金属が空気や雨などに触れにくくなっているため、耐食性や耐候性が高くなります。
塗料に溶媒を含まない
粉体塗装の場合には、塗料に溶媒を含まない点も特徴のひとつです。例えば、水性塗装や溶剤塗装の場合には、顔料や樹脂、添加剤など塗膜形成に必要な成分を溶解・分散させるための有機溶剤や水分を含んでいます。それに対して、粉体塗装で使用する塗料は、塗膜を形成する成分のみで構成されている点も特徴のひとつです。
塗料を回収・再利用が可能
粉体塗料の場合、上記でご紹介している通り有機溶剤や水といった揮発成分を含んでいません。そのため、熱影響を受けなければ変質することもほぼ無い点もポイントです。この点から、粉体塗料は塗料の回収や再利用が可能です。
塗料に揮発性有機化合物（VOC）を含まない
粉体塗装に使用する塗料の場合、揮発性有機化合物（VOC）を含まない点も特徴です。この揮発性有機化合物は、大気汚染や健康被害の原因になると考えられています。これらを含まない点も粉体塗料の特徴として注目しておきたいポイントといえます。
効果的なメンテナンスで粉体塗装の寿命を延ばす
粉体塗装は、耐久性が高く寿命が長い塗装方法とされています。上記でご紹介してきた通り、塗膜が厚いため強度が高く、さらに柔軟性も優れていることから耐用年数は長くなる点が特徴です。
実際の寿命は粉体塗装の種類や使用する環境などによってどのくらい持つのかが変わってきますが、いずれにしても、できるだけ寿命を長くしたいと考える場合には、定期的なメンテナンスを行っていくことが大切です。
粉体塗装の初期投資と長期的なコスト削減
粉体塗装の特徴は、高品質・長寿命である点が特徴です。一度塗りで強固な厚膜が得られるため傷に強いことに加えて、耐食性や耐熱性にも優れています。この点から、粉体塗装の場合は再塗装の回数を減らせるためにランニングコストの削減が可能です。この点から、トータルコストの削減につなげられる点も、粉体塗装のメリットといえるでしょう。
さまざまな業界での使用例
粉体塗装はさまざまな業界で活用されており、特に工業塗装の用途に多く利用されています。使用分野と使用例については下記のような事例が挙げられます。
- 建築資材分野：フェンス、門扉、住宅鉄骨、シャッター、パーテーション など
- 建設・産業機械分野：工作機械、パワーショベル、フォークリフト、農業機器 など
- 電気機器分野：発電機、モーター、分電盤、配電盤、ラジエーターなど
- 金属家具分野：椅子、机、ロッカー、陳列棚、書架 など
- 家電製品分野：レンジ、エアコン、冷蔵庫、洗濯機、照明器具 など
- 自動車部品分野：ボディ、バンパー、ワイパー、ホイール、スプリング、オイルフィルター など
このほかにも道路資材や水道資材など、粉体塗装は非常に多くの分野で用いられている塗装方法となっています。
